Event・Seminar



交通と文学
鉄道の時代としての19世紀

 産業革命を経たのちの19世紀は、国境を越えた交流が活発化し、経済のグローバル化が急速に進展した時代でした。しかし、同時にそれは、言語ナショナリズムを基調として、国民国家という政治的・文化的枠組みがしだいに確立されていった時代でもあります。このような19世紀を対象とする人文学の研究も、得てして言語を単位に縦割り化され、分野間の学術交流が希薄になってしまっていることは否めません。本シンポジウムは、19世紀にさまざまな言語で書かれた文学をあえて語圏横断的に比較することで、この時代そのものに新たな光をあてようとする試みです。

 比較の作業の起点となるのは「交通」という共通テーマです。わけてもここで注目する「鉄道」は、当時の人々の空間経験・時間経験に決定的な変容をもたらすとともに、近代の産業化を象徴する発明として、同時代の文学にさまざまなかたちで影響を与えた交通手段として知られています。本シンポジウムでは、19世紀ヨーロッパの各言語圏文学の研究をリードする専門家による発表とコメント、そしてフロアを交えた全体討論によって、ふだんは没交渉に終わってしまいがちな複数言語圏の文学を、互いに「交通」させるための道筋を探っていきます。

日時:
2020年1月12日(日)13:00~18:00 
会場:
日吉キャンパス 来往舎1階シンポジウムスペース
講師:
<発表者>
木島 菜菜子(イギリス文学/平安女学院大学)
「ディケンズと鉄道再考―魅力、幻影、恐怖」

大楠 栄三(スペイン文学/明治大学)
「鉄道と風景―1868年世代のスペイン小説において」

乗松 亨平(ロシア文学/東京大学)
「私的なものの侵犯=生成―トルストイと鉄道をめぐって」

<コメンテーター>
小倉 孝誠(フランス文学/慶應義塾大学)

奥山 裕介(デンマーク文学/大阪大学)

<司会>
西尾 宇広(ドイツ文学/慶應義塾大学)


【プログラム】

12:30-13:00 開場・受付
13:00-13:10 開会挨拶・趣旨説明(ドイツ文学)

■ 第一部:発表

13:10-13:55 第一発表(イギリス文学)
13:55-14:40 第二発表(スペイン文学)
14:40-15:25 第三発表(ロシア文学)

15:25-15:40 休憩

■ 第二部:コメント・全体討議

15:40-16:05 第一コメント(フランス文学)
16:05-16:30 第二コメント(デンマーク文学)

16:30-17:55 全体討議

17:55-18:00 閉会挨拶(ドイツ文学)

参加費:
入場無料
申込み:
不要
参考:
備考:
コメント:
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